【銀座湖山日記/12月6日】コーヒーの香り

【銀座湖山日記/12月6日】コーヒーの香り

母は、毎朝のインスタントコーヒーを、こよなく愛していた。
泰成君は、10歳の頃から、シャーロック・ホームズに憧れた。
淹れたてのコーヒーを、英国式のティーポットセットで優雅に飲む。
英国式カップを持ったポーズでの読書が、週末の習慣だった。
気取っていたのだ。
父の書斎で。
日曜日は、父は、昼過ぎまで、深夜勤務のせいで、爆睡している。
日曜日は、父の缶ピースや、パイプの葉を煙草屋に買いに行くので、ついでに、挽きたてのコーヒー豆も買ってくる。
そういう、コーヒー豆を売る、小さなカウンターだけのお店が流行っていた。
でも、何故か、母は、インスタントー・コーヒーしか飲まないのである。
晩年は、ゴールドブレンドだったかなあ。
もともと嗜好品にこだわりのない人だったが、何故か、インスタント・コーヒーだけは寵愛した。
テレビの宣伝のせいだろうか。
当時は、遠藤周作のコーヒーの、テレビCMが目立っていた。
泰成君は、正統派英国趣味なので、インスタントは飲まなかった。
このこだわりは、子供にしては珍しく、母はいつも持て余しつつも、自由にさせてくれた。
その後も、私は、自分だけは、玄米やクネッケとか、サラダとベーコンエッグにクロアッサン、グレープフルーツの朝食とかにこだわった。
異国の小説のシーンを再現したかったのだろう。
今にしては、馬鹿げた、子供の我儘を実現してくれた。
最近は、コーヒーは、ホテルの朝食会くらいでしか飲まない。
牛蒡茶、ルイボスティー、延命茶では、健康にならざる追えない。
よく眠れる。
いくら寝ても、疲れて寝足りない。
アルコールも、カフェインも、いらない、老境の悟りの世界は来ないものか。

パルスオキシメーター 97・96・97
血糖202 体温36.6度

飛行機で北へ旅立つ朝 代表 湖山泰成

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