小中学校の頃は、とにかく何時も本を持って、偉人伝や図鑑を読んでいた。
通学の地下鉄、バスでも、寝床でも。
週末の家族ドライブでも、大阪万博に行った時の、新幹線、飛行機でも。
本を通して、歴史の世界に逃げ込んでいた。
ミステリーもSFも、所詮、現実逃避。
友達と遊ぶこともなく、引きこもりだったと思う。
夢見る夢男だった。
高校大学は、授業もさぼって、図書館に引きこもっていた。
夏休みは、毎日のように、図書館に通った。
寝袋を持って、図書館で暮らす事を夢見ていた。
小中高は、毎年、図書委員をしていたのも、図書館にいたかったからだ。
今なら、ネットのディズニーランド。
10代は、週末の土日は、徹夜で名画座に通った。
あらゆる映画を見尽くした気分だった。
20代は、映画館、美術館、コンサート、小劇場。
そして、新しいレストラン。
アートを堪能した。
30代は、医療福祉を通した街づくりに参加する為に、日本中を旅した。
リゾートの勉強の為にヨーロッパも周った。
医療福祉の仕事をするようになり、職員研修として、世界中の老人ホームを見て周った。
そして今は。
コロナとはいえ、殆ど、自宅のベットで、iPadか、テレビを録画で見る毎日。
父も引退してからは、一日中テレビを眺めていた。
将棋、碁、ゴルフ。
社会問題、政治には、一切関心がなかった。
政治家や官僚の患者さんが多かったのも関係したかもしれない。
そういう父だから、政治家や官僚の患者さんが多かったのだろうと思う。
リハビリ病院で、過ごすようになっても、何時もテレビを見ていた。
ぼんやりと。
何故、こんな事を書いているかと言えば、今の私も父のようになって来たからだ。
世界ニュースや、アートの特集か、世界風景の番組ばかり。
世の中の生臭い現実や、戦争の悲惨さが嫌になった。
素朴で美しい自然を、風景としてぼんやり眺める。
音楽すら、あまり聞かない。
映画も、風景のように眺めている。
小説の主人公に入れ込めない。
政治評論家や、社会批評家の論説にも納得できない。
野原と雲を、ぼんやり眺めているような気分。
リラックスと言うのか、疲れていると言うのか、ボケてきたと言うのか。
老人の世界観とは、こんなものなのか。
世は、全て空の雲の風景、今宵も事はなし。
老境の悟りか、はたまた、只の極楽とんぼか。
戦場の休暇。
今週末は、のんびりしたい。
パルスオキシメーター 98・98・99
血糖 158 体温 36.4度
夢見る極楽とんぼ 代表 湖山 泰成
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