小学校3年生の泰成君。
湖山家は、古い日本家屋に住んでいた。
その頃の台風は毎年のイベントだった。
瓦屋根、縁側、ガラス戸。
雨漏りの為に、タオルや、タライを置いて廻る。
居間に、家族は集まり、蝋燭を囲む。
必ず停電になるからだ。
懐中電灯を下から顔に当てて、お化けごっこをする。
ラジオで天気予報を聞く。
なぜか、その日になって、慌てて、電池と蝋燭とマッチを買いにいく。
雨の中を傘を持って、走って買いに行くのは、泰成君。
商店街の雑貨商に行く。
毎年の恒例。
当時の商店は、決まって、おばあちゃんが店番。
たばこ屋さんも、おばあちゃんが、何時も正座していた。
商店街の人は、親戚のように親しかった。
今は、停電もないが、隣近所挨拶をするような親しい人はいない。
古い商店は、皆コンビニかテェーンストアに変わってしまった。
黒電話で、親戚に電話をかけるが、台風で回線が切れてしまう事もあった。
なんと便利に、そして、孤独になった事か。
このメールだけが、社会へのつながり。
そんな、孤独な独居者は、どうしているのだろうか。
50代のコロナ自宅患者の死亡が、報道されている。
コロナ、独居、台風。
不安と孤独が日本を襲っているのではないか。
メールとテレビをつけっぱなしにしているのがせめて。
たった1人の南極越冬隊のような気分がしてしまうのは、何故だろう。
本日新規職員PCR検査陽性者0
ご苦労様です。感謝致します。
今朝のパルスオキシメータ 97・97・97
蝋燭の灯りが懐かしい 湖山泰成
ーーーーーーー