【銀座湖山日記/7月14日】映画はタイムマシン

【銀座湖山日記/7月14日】映画はタイムマシン

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中学校の時は、ベトナム戦争反対の市民活動で、毎週市民提灯デモに参加した。
高校になってからは、図書委員と写真部員になった。
カメラマンとして憧れたのは、木村伊兵衛とユージン・スミス。
どちらも、カラー写真は撮らない。
黒白のモノクロームのみ。
私は、父のライカを借りて、暗い校舎の中のスナップを撮り続けた。
教室の1番前の机に座り、授業中でも、教師の顔のアップを撮った。
卒業アルバムの写真も多数とった。
頼まれて、卒業記念に、女子高生の写真も多数撮影した。
図書委員であったので、公害問題に取り組んだ。
なんと言っても、水俣公害問題が大きかった。
東大の公害原論講座まで行き、水俣支援活動の先輩学生と論議した。
1番尊敬した、高校の先輩は、大学受験をせず、そのまま支援活動に専念した。
社会を考え、人生を悩む10代。
図書館と暗室にこもり、古本屋街を1人放浪する学生時代だった。
ユージン・スミスの水俣の風呂に浸かる母子の写真が、多くの人の人生を変えた。
私も、その若者の1人だった。
権力や社会悪と闘う正義の人となる事に絶望を感じた。
国民市民は所詮無力と悟った。
政治家やジャーナリストになる事に自信を無くした。
せめて、人を傷つけたり、搾取する側の人間にはなるまい。
せめて、自分が愛する人間だけは守れる力が欲しい。
強くなければ生きて行けない、優しくなければ生きて行く資格がない。
それも、内にこもった、正義感倫理観でしかなかった。
1人、本の世界に閉じこもる、引きこもりの青春だった。
政治、企業、行政、自治体、市民活動、環境問題、全ては水俣公害問題で学んだ。
心の奥底に沈めた、忘れたはずの青春の記憶が、半世紀たって、甦ってきた。
試写で、映画MINAMATA を観た。
頭がクラクラした。
一枚の写真が、世界を変えた。地域を変えた。
そして、私のような若者の人生を変えた。
半世紀、自分はどのように生きてきたのだろうか。
一本の映画は、タイムマシンか、パンドラの箱か。
今もまだ、頭がクラクラする。

本日職員新規PCR 検査陽性2名
ご苦労様です。感謝致します。

今朝のパルスオキシメータ 97・97・97
カメラを捨てたカメラマン 湖山泰成

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【銀座湖山日記】

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