明け方からの雨が、今は止んでいる。
今年は国政選挙があるかもしれないと考えていたら、20歳の頃に国政選挙にボランティアで、応援に参加した事を思いだした。
選挙は、学生にとって割りの良いアルバイトだったが、私は、知り合いに応援ボランティアで勉強のつもりで参加した。
政治ノンポリの私にとっては、政治よりも、選挙そのものに関心があった。
選挙に熱くなる市民に関心があった。
どういう人達なのだろうか。
あれだけ熱くなるのだ、選挙こそ、現代の本当のお祭りなのではないだろうか。
社会勉強のつもりで参加した。
大勢の秘書軍団が、夜毎、地区に繰り出し、挨拶回り、その報告と選挙分析。
一日中、コピー撮りの日もあった。
ついて行くと、商店街の幹部と飲み歩くのが仕事。
なるほど、酒の強い若者を連れて行きたくなるはずだ。
政策など忘れて、只々うちの先生をお願いしますと言って、酒を注ぐ。
戦意は気力と体力。
私の仕事は、駅前に応援演説の選挙カーの駐車スペースの確保。
ライバルが来る前に、スペースを確保しなければならない。
花見のスペース確保に似ていると思った。
ライバルの演説会場に行き、報告をする。
スパイである。
政策内容ではない、どういう人が集まっているか、何人くらい来ているか、熱気があったか、知っている人が行っていないか。
つまり、裏切り者がいないか、二股かけて応援している後援者がいないか。
選挙で動いている人達とは、商店街、業界団体の役員達。
医師会や農協のような。
クールな都会も、選挙となると、地区の権力ダイナミズムが動く。
闇の中で。
私は、それを見て、私には向かない世界だと早々と悟った。
正しかったと思う。
思い出すのは、選挙事務所で、毎日ドラム一杯のカレーを作る人。
山のように押しかける支援者に頭を下げてお茶を出す、事務所番の女性。
来客によって、壁一杯の推薦状を並べ替えたり、酒瓶を入れ替える。
ウグイス嬢は、プロで、1日何万円ともらえるお姫様だった。
男性の学生アルバイトは、街頭で、選挙ビラを配るのが仕事。
誰も受け取ってくれない。
雨の日は最低。
誰もが避けて、無視して道行を急ぐ。
当たり前だ、忙しい通勤時間を狙って、候補は演説する。
迷惑極まりない。
でも、山のようなビラがなくなるまで、学生アルバイトは帰れない。
雨が強くなってくると泣きたくなってくる。
捨てると犯罪行為になるし、すぐバレる。
最初は、笑顔で一枚づつ丁寧に渡すのだが、雨が降り出すと、2枚3枚と配るようになる。
ほとんどの通勤者に無視されるのだが、たまに受け取ってくれる人がいる。
大抵女性で、ご苦労様ね、頑張ってね。
などと声をかけてくれる。
支援者関係なのだろう。
でも、政治に関係なさそうだけど、無関係だけれど、お願いしまーすと、から元気で、叫び続ける若者が可哀想だと思ったのだろう。
ただ、ビラを受け取って、買い物籠に入れて行く人もいた。
候補に一票を入れてくれなくても、一枚のビラを受け取ってくれるだけで良き国民に見えて来る。
今でも、街頭で、選挙ビラを配っている学生らしき若者を見ると必ず受け取る。
笑顔で、ご苦労様とねぎらって。
政党を問わず。
自分が現場で、経験した苦労は一生忘れない。
自分が苦しかった時の励ましは、一生忘れない、たった一言の励ましでも、慰みでも。
見知らぬ、行きずりの他人でも。
候補よりも、選挙現場の人達が印象的だった。
候補と会った事もない人達が、必死い戦っている。
そして、選挙に勝てば良い。
負けると、誰も来ない、いない、寂しい事務所になる。
大体、候補当人が挨拶に来ない。
敗戦の将は、せめて、敗戦の戦士には顔を見せるべきだ、あなたの為に戦った兵がここにいるのだから。
そう、思った。
それ以来、選挙投票日は、、知り合いでも、負けそうな候補の事務所に行く。
当選者には、友人はいらない。
嫌いな奴でも、選挙に負けた日だけは、友人になってやりたい。
そう思わせるのが、選挙だ。
私は、生涯選挙当事者にはなりません。
ご安心ください。
自分の部下は、敗戦の兵士にはさせない。
本日新規職員PCR検査陽性者0
ご苦労様です。感謝致します。
今朝のパルスオキシメーター 97・98・98
湖山G代表 湖山泰成
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