小学校の頃、学校の帰りに虎ノ門病院に通っていた。
歯科の治療である。
父が勤務していたので、治療費が無料だったのである。
でも、共済会の大病院。
15分の治療に1時間30分は待たされる。
図書館の本を読む時間は増えたけれど。
満員電車のような混雑したロビーで待たされる。
コロナがなくてよかった。
今と違って、全て館内放送。
自分の治療の番が来て呼び出されるまで、疲れ果ててしまう。
そして、不幸な事に、患者として呼び出される前に、必ず幾度が放送が入る。
内科の湖山先生、湖山先生、至急内戦00番にご連絡ください。
という医師呼び出し館内放送が、大音量で入る。
30分毎に。
ランドセルを背負った子供の湖山先生の息子は何の関係もない。
気づかれるはずもない。
だが、虫歯の痛みを堪えた患者の泰成君は、その度にドキドキし、歯を押さえる。
白衣を来て、ロビーから外来を走り回る父を見つけても、怖くて声もかけられない。
医師に対する憧れよりも、こんな仕事だけはしたくないなあと、子供心に思った。
夜毎午前様のご帰宅で、寝る前に15分くらいは、風呂に浸かっていたのだろうか。
それで、朝7時過ぎには出勤。
24時間眠らずに働けますか、の時代だったのだけども。
20代になると、患者さんの接待で、銀座のクラブに父に同席させてもらう事があったが、父は、薄い水割り一杯しか飲まない。
しかも、それに水を足しながらである。
それで、深夜帰宅のハイヤーで、病院に寄って、当日入院、手術の患者を診て帰るのである。
父は日本酒も、お湯割りにして、更にお湯で無限に割りながら飲んでいた。
でも、何時も、美味しそうで、楽しそうに会話に参加していた。
でも、大臣や財界人が倒れると、その料亭に電話がかかってくるのである。
いつでもシラフでいなければならない。医師は。
そういう医者だった。時代だった。
何故か、偉い人は、週末に具合が悪くなって、電話がかかって来る。
自宅にも、ゴルフ場にも。
黒電話の時代。
幸いにも、携帯電話などなかった。
スマートフォンや、オンライン診療で、便利迅速になった。
でも、どんにに科学技術システムが便利になっても、医師と患者との人間的信頼関係は変わらないと思う。
最近、自分が老人患者になって、しみじみと実感するようになった。
手間のかからない素直な患者を目指します。
本日新規職員PCR検査陽性0
ご苦労様です。感謝致します。
今朝のパルスオキシメータ 98・98・98
湖山G代表 湖山泰成
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