【銀座湖山日記/1月6日】工場にクーラーはありますか。

【銀座湖山日記/1月6日】工場にクーラーはありますか。

1652751_s
父故湖山理事長の一高の同窓会は囲碁とゴルフの会だった。
私はお茶汲みでいつも同席させていただいた。
その時に聞いた話。
メンバーは皆財界人、大蔵次官、大臣。
鉄鋼会社の重役で、その後、財界総理となられた方だったと思う。
大手町本社は仮ビル。お金は工場にかける。
工場が1番大事、誇り。
本社にはクーラー設備がない。
工場は、クーラーもなく、汗をかきながら、24時間操業。
本社の事務だけが、涼しく楽になるわけにはいかない。
胸を張って、自慢げに話をしていた。
10代の頃の事だが、子供心にも、人の上に立つ人の考え方は立派なものだと、感心した事を覚えている。
昔の事なので、今は、本社も、工場も空調は完備している。
本社は今でも仮ビルではないかな。
急成長した会社が、分不相応な立派な本社ビルを建てて、後、倒産すると言う事はよくある。
経済誌に、新社屋の立派な社長室で、自慢げな社長の写真があったら、その会社の株は即売った方が安全だ。
老人ホーム、特養ホームで立派な理事室、施設長室のある施設で、良い施設は見た事がない。
理事長、施設長が威張っている施設である。
湖山でも、立派な応接セットを置いてあると、移動させて、ミーティングテーブルに変えさせる。
高級ソファーに、低いティーテーブルでは、仕事にならない。
昔の中小企業の社長室である。
湖山Gは全て現場。
私のいる部屋、机も経営現場である。
自慢ではないが、1番安いオフィス家具だ。
調達したスタッフが、私に自慢していた。
確かに座っていると、お尻が痛くなる。
長時間は使えない。会議も短時間で終わる。長居する来客は少ない。
私の銀座の事務机には、電話機がない。
受話器の数が足らなく、私は必要がないだろうと言うことになったそうだ。
私に電話がかかってくると、秘書の机まで行って、受話器を受け取る。
私への連絡は、なるべく、メールか携帯にて、お願いします。
大型の特養ホームで、1番お金のかかっている部屋は、職員の休憩室。
ぜひ、ご覧あれ。昼寝したくなる。
病院は霊安室に1番お金をかけた。
絨毯を引き詰め、高級ソファに、電気ポット、お茶器。
患者が亡くなると、家族は深夜に集まってくる。
コンクリートの床に折り畳み椅子。
隣は、ゴミ排出室。
確かに、死者は、価値がないのだろう。病院にとっては。
大学病院の霊安室を見て、がっかりした事があり、自分の設計では、配慮した。
30年前の事なので、今は大学病院はそのような事はない。と、思う。
遺族の気持ちを考えていないのだ。
最高級の医療への感謝も、死後の扱いで、吹っ飛ぶ。
湖山では、死者の搬送は、正面玄関から、スタッフがお見送りをするようになった。
今では、珍しくないだろうが。
コロナの雨が止まない。
自宅蟄居して執務している。
お歳暮が来ても、宅急便は、玄関の前に置いてもらって、取りに行く。
自分はそういう配慮ができるが、介護現場はそれでは仕事にならない。
送迎車両に乗り降りさせる時には、抱き抱えないと無理な老人が多い。
入浴、食事、2メートルのディスタンスなど取れるわけないではないか。
保健所の所長で、介護も防御服を着れば、何も心配いらないのですよ。
と、私に教えて下さった人がいた。
私は呆れた。
では、その防護服を毎日100着配給してください。現場のスタッフに。
これから、施設に来て、入浴、食事介護、送迎を体験しに来ませんか。
防護服を着ていらっしゃれば、安全ですから。
と、心に思った。
所長は、医師だ。
所長室で、ハンコを押すだけの仕事では、ないはずだ。
今でも、お待ちしています。
現場が1番大変。1番大事。
今の私は、安全な場所で、報告メールを読んで、返事を返すしかできない。
それでも、現場を支える経営の仕事を、誇りに思っている。
現場も経営も24時間365日。
後2年は、この時代が続く。今日迄湖山職員にコロナ16人。
御苦労様です。感謝致します。

湖山G代表 湖山泰成

ーーーーーーー
解説

解説に関しましては以下URLをご参照いただければ幸いです。

http://koyama-cn.com/?p=16894?cat=11