今の渋谷の自宅はもう40年以上になる。
7年前に母が癌で亡くなり、父が入院した。
昨年9月に父が亡くなって、帰って来る家族が誰もいなくなった。
母がいなくなって以来、家全体が、倉庫状態になっていた。
母の着物や、好きなリヤドロの陶器人形などの、湖山思い出館と言いたいところだが。
まあ、他人が見れば、耄碌老人ゴミ屋敷である。
父の背広はサイズが合わず、ディナージャケットと普段着ていたジャケットを残して、他はこの手で捨てた。
いつも愛用していた、紐ネクタイは父がお世話になったスタッフに受け取ってもらった。
医学書や東大医学部の同窓生の著作は、東京本部の書棚に揃えた。
ネクタイは今日も、私が締めている。
時々、このネクタイに首を絞められるのではないかと怯えている。
鞄、バックが沢山あるので、日替わりで使って、捨てていこうと思う。
山のような、家族写真アルバムはそのまま開けずに積んである。
怖くて、開けられない。
トキワ荘マンガミュージーアムが今週開館した。
子供の頃の憧れだった。
植木職人が庭の手入れに来る季節になった。
毎朝、2階の食堂で目の前の公園を眺めながら、この日記を書いている。
二本の木が、2階のベランダを超えるまで育ち、目ふさぎになってきた。
庭の木より、公園の風景を気に入っている。
今年は、この40年育った松を切ることにした。
自分の手の届く低木だけ残す。
植木職人が入るのは今年が最後になるだろう。
湖山に巨木、大木はいらない。
豪華な蘭もいらない。
一輪の白百合、一輪の薔薇くらいなら許そう。
菜の花畑が好きだ。
湖山グループは13000の野の花畑。
だから、美しい。
私も、野の花畑の一つの花である事の幸せに感謝している。
私は、根っこかな。
日の光の届かぬ地の中の方が、心休まりそうだ。
やがて、花も人も地に戻る。
今日迄湖山にコロナ1人 ご苦労様です
感謝致します
湖山グループ 代表 湖山泰成