【銀座湖山日記/6月17日】はじめてのボーナス

【銀座湖山日記/6月17日】はじめてのボーナス

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28才の新任事務長です。
とにかく、垂れ流しの赤字を止める事が先です。
お金の関わることは全部一人で確認しなければなりません。
金庫の鍵も、印鑑管理も全部自分でします。
120%の個人商店です。
それが本当に勉強になりました。
新しい若い営業マンと直接会います。
新商品、新薬、新しい検査機器。
銀座で新製品を入れると言うとかなりサービスしてくれるのです。
最新鋭の機器を入札で長期リースで入れました。
先端医療の環境を整えないと、大学から医師を派遣してもらえません。
医療は進歩する科学です。
日々の競争です。
そうは言っても最初のボーナスが払えません。
その段階では銀行は貸してくれません。
再建中なのだから一期目の賞与は無理です。
ですが、職員には生活があります。
前経営者の責任と言っても、今は私の責任です。
親子の間で父に頭を下げられたのは、この時の一度だけだと思います。
何とかボーナスを払って欲しいと。
これからみんな一生懸命働いて稼ぐからと。
父は若く、私はより若かった。
でも、自分は生命保険は嫌いだと。
仕方なく、私が生命保険を担保に通常の半分の下期賞与を払います。
看護婦の不満が一番多かった。
年末正月の救急状態は院長看護部長が無休で乗り越えました。
怒涛の半年が終わりました。
閉めてみると、400万円の利益となりました。
感激です。
約束どおり、利益全部を決算利益として払います。
150人だった職員は100人になっていました。
一人4万円、現金で封筒に入れて、一人一人に手渡しました。
とにかくほっとしました。
これでやっと来期の運転資金の借り入れの目処がついたからです。
そこに、嬉しそうに地下の事務室に来たのは高齢の清掃厨房の職員達です。
皆さん、涙を浮かべて手を握って来るのです。
自分達も医者や看護師と同じ病院の職員として認めてくれた、と。
自分達は銀座の病院で働いている事を誇りにしている。
考えもしませんでしたが、この事が経営者としての初めての成功体験となります。
その後、経営を全職員に公開する事と、その利益の中から、賞与と、銀行返済と、未来への投資をする。
豊臣秀吉の三分の方と同じです。
皆、自分で稼いで、自分の為に使え!
ただ、ただ、その経営を愚直に今まで続けて来ました。
時々思います。
あの時の自分にタイムトラベルしたら、自分はどうするだろうか?
もっと上手く出来たろうか?
いえ、あの様な事は二度とごめんです。
その歳の自分に出会えたら、必ず、忠告します。
辞めなさい、と。
人生は一度だけだから良いのですね。
私の経営者としての航海は出だしから波乱に満ちていました。

今日迄湖山にコロナ一人 ご苦労様です
感謝致します

湖山グループ 代表 湖山泰成