【銀座湖山日記/6月13日】 1日の余裕

【銀座湖山日記/6月13日】 1日の余裕

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28歳の1年生事務長の話。
月末の1週間は経理財務、つまり資金繰り支払いの計画調整。
資金繰りとは毎月の銀行への実績報告。
僅かでも収益が改善されて行くので、銀行に褒められるのは嬉しかった。
毎月入札で仕入れ業者を変えた事と、そこからリベートを貰っていた幹部が辞めて行ったので、人件費も減って行ったからでです。
父院長は救急病院の院長ですから土日も営業です。
つまり、財界人の患者様とゴルフです。
そのお陰で、ドック健診の契約が増えて行きました。
新人事務長は警察・消防署の外郭団体の役員となります。
交通安全協会、防犯協会、防火協会、防火管理者協会と言った6団体全ての。
銀座の唯一の救急病院ですから、他になり手がなかったのだと思います。
病院前に停車した車が30分で駐車違反で持って行かれる時代ですから、交通安全課に何度謝りに行ったことか。
緊急手術で応援に来てくれた大学の執刀医の車が持っていかれた時は怒りました。
緊急医療のカードをフロントに見えるように置いておいたのに。
文句を警察官に言いましたら、言われました。
手術にしては長過ぎると。
どうも、術後、スタッフと飲みに行って一晩置きっぱなしだった様です。
こちらで、罰金を払いました。
今でもミニパトの女性交通警察官は苦手です。
今の銀座は駐車場も空いていて、駐輪が問題になっています。
月の始めの1週間は医事請求で、医事課は深夜まで残業です。
まだレセプロもなく、女性の専門家の能力次第でした。
素人の事務長は、お菓子やお茶を配るくらいしかありません。
最後の1時間まで最終チェックです。
通常は医師会に届けるのですが、枚数が多い月は間に合いません。
池袋にある基金に直接持って行けば、1日遅れても受け取って貰えます。
やがて、毎月基金に直接持ち込むようになりました。
あと1日1時間に必死に働いたのです。
カバンに入り切れないので、風呂敷で包みます。
弁護士が風呂敷を愛用する理由がわかりました。
帰りは風呂敷を畳んでポケットに入れて帰れるからです。
やがて午後ギリギリに持ち込む、毎月の同じ顔に気が付きます。
毎月風呂敷包みのレセプトの束を持ち込む同業者。
やはり経営の厳しい民間中小病院の事務長です。
目で会釈するだけですが、同じ苦労と努力をしている同業者です。
名刺交換するわけではありません。
ライバルだったかも知れません。
でも、同じ苦労を共感出来る仲間を持つことは幸せです。
ライバルこそ真の理解者で仲間かもしれません。
医療界の良い所は、真摯に学びに行けば親切に教えてくれる事です。
その後、東京のやり手と言われる病院事務長に挨拶に廻りました。
皆さん親切で優しかった。
感謝です。
無知で未熟な生意気盛りの事務長を指導して下さいました。
今も感謝しかありません。
でも、その病院の多くは今はありません。
銀座病院が再生できたのは、私には、経験もお金も既成概念もなかったからだと思います。
今もあるのは変革をためらわなかった事と、尊敬出来る同僚、戦友がいてくれたからだと今はわかります。
戦後の医療福祉体制は大変革期を迎えます。
天気晴朗で波のない海では、エンジンの力のある船が勝ちます。
コロナの嵐で、視界の悪い、レーダーも役に立たない時は、艦長の勇気と決断が船を救います。
守るのは、船ではなく、乗組員の命です。

今日迄湖山にコロナ1人 ご苦労様です
感謝致します

湖山グループ 代表 湖山泰成