【銀座湖山日記/6月10日】未収金回収記

【銀座湖山日記/6月10日】未収金回収記

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37年前の銀座の救急病院。財務を建て直すのが急務。
先ず、手形を発行しない。
支払サイトを1ヶ月を3ヶ月に、3ヶ月を6ヶ月に伸ばしてもらう。
請求書のチェックも支払いも自分自身で、振り込みで行う。
振り込み手数料は業者負担で差し引く。
とにかく、当たり前のことが当たり前に行われていない。
未収金が多く、回収業務は一切なされていない。
銀座の救急患者は旅行者や出張者も多い。
救急治療費は先ず保険単価の2倍以上の自費として請求される。
当時でも1日2万円以上の個室使用であるから、払えないと言う気持ちも良くわかる。
夜11時に緊急入院して、翌朝8時に大学病院に転院しても病院の習慣で2日分の部屋代請求される。
直ぐにホテルの様に、一泊いくらとしたが、当時は当たり前。
労災は医療保険単価の2倍、交通事故などは自費扱いで3倍。
医療保険単価は全国一律なので、東京の病院は自費医療、ホテルより高い個室料で赤字を補っていた。
次は、回収不能と思われる未収金の回収。
損金として落とそうとするが、税務署が認めない。
1年以上回収努力をして、駄目でないと損金算入は認めないと言う。
大企業は未収金管理システムが完備していて、通年で金額も一定しているので申告
中小企業の大型未収金は、知り合いへの請求不作為か、脱税の可能性があり得ると言う税務署の判断だと思う。
仕方がなく、毎日、居留守は分かっていても電話をかけ、請求書を書留で送る。
偽住所も何軒かあった。
こんな業務こそ事務長の仕事である。
その後、赤字病院の相談を受けるが、そういう病院に限って、事務長が無責任で未収金に手付かずでほってある。
嘘だと思ったら赤字の病院に聞いてみたらいい。
とにかく、一件でも、職員に回収実績を見せてやろうと、100万円以上の未収患者を追いかけた。
個室に長期入院して、今は品川のホテルに滞在していると言う患者に電話をかけ数日後には会いましょうと約束した。
でも、信用ならないので、その日から毎日夕方ホテルのロビーに押しかけた。
今日、チェックアウトの予定とフロントに知らされた夜は深夜迄粘った。
彼がタクシーで帰ってきた。
白いスーツに薄いサングラス。
粋なお洒落な白髪の紳士だった。
事情を聞けば、発明家で自動車に関する特許を取得していて大手自動車会社と訴訟中だと言う。
勝てば大金が入るので必ず払うとの事。
嘘としか思えなかった。
全く当てにしなかったが、この記録で税務署も認めてくれるだろうかと考えた。
医療費を踏み倒す患者を追うと、様々な人生を知る事になる。
払いたくとも払えない人もいる。
アメリカみたいに支払可能な保険の確認が出来なければ救急患者も放り出す様な訳にはいかない。
だからこそ、医療こそ利益の積立が必要と確信した夜となった。
この事を忘れずにいるのは、数ヶ月後に100万円が振り込まれて来たからだ。
信用した訳ではないが、踏み倒しても逃げ切れたろうに。
彼の誇りか、1週間追い続けた私への友情か、義理か。
救急病院にはドラマがある。
特許の話は本当だったのか。
彼が説明してくれた自動車の特許とは?
ハンドルを切ると、車のヘッドライトもその先を照らす様に首を振るシステム。
夜間安全運転ハンドル機能特許だと言う。
今は高級車には皆付いている。
嘘だとしても、本当に払ってくれた。
何時もの、事務長の仕事の一つに過ぎない。
その年の決算で損金算入してしまった入金の会計処理に困った。
税理士に相談したところまでしか今は記憶がない。

未収金の発生よりも、未収金をほっておく事務長の方が問題です

今日迄湖山にコロナゼロ ご苦労様です
感謝致します

湖山グループ 代表 湖山泰成