遺品の整理が進まないのは、蔵書と写真アルバムのせいです。
両親の結婚式から、長男泰成君の赤ん坊の時から10歳位までので20冊はあるでしょう。
どうもその後は飽きたのか疲れたのか、山のようなプリントが箱や袋にしまったままです。
子供の頃はどの商店街にも写真屋さんがあって、フィルムを買い、プリントをお願いして、また、取りに行くのです。
ネガ、プリントをアルバムに整理するのは大変ですが、何処の家族でも必須で、正月や子供の誕生日会でお披露目しました。
今みたいにデジタルで編集してクラウドで保存するなど、考えられません。
ネットで直ぐ送れる社会は夢のようです。
暑中見舞年賀葉書を家族旅行写真の葉書で送るのも流行りました。
部屋に飾ってある写真や、未整理のプリントはやたらゴルフコンペが多いのです。
バブルの頃は、企業、同窓会、週末のゴルフコンペが毎週です。
医師の父は患者様の招待もありました。
更に取引業者さんの接待ゴルフです。
病院ですから、製薬メーカー、薬問屋が多かったと思います。
バブルの最中の頃だったと思います。
薬問屋さんの役員からのゴルフご招待です。
私もお相伴に預かり同行です。
コースでは院長と重役が競り合い、勝負は一進一退。
最後のホールで、重役のロングパットで勝敗が決まる緊張の一瞬。
ボールはホールの1センチ横でピタリと止まりました。
一打の差で父の勝ちです。
父は、やはり俺の方が上だなとでも言いたげな、ご機嫌の顔です。
はしゃいでハウスの方へ向かいます。
負けた筈の重役はもう一回玉を、先程のパットの位置に置くと、再度打ち直します。
同じ軌道ですが、今度はホールインです。
そして球を取り出す時、私の顔を見てニヤリと微笑いました。
ゴルフの下手な私にもわかります。
その重役さんは、大学選手権でも入賞経験のあるプロ級の腕前だったのです。
泰成君はゴルフと接待の奥の深さを知った一日でした。