銀座シネマタイム14 『トワイライト~初恋』

銀座シネマタイム14 『トワイライト~初恋』

『トワイライト~初恋』

再婚した母の元を離れ、父親が暮らす深い森に閉ざされた雨と霧の町に移り住んだ娘は、不思議な魅力に満ちたゴージャスで美しい青年とクラスメートになる。大理石のような白い肌、ブロンズに輝く髪、ベルベッドのような甘い声、抗えない磁力を発する美しい瞳。地上に降りた天使のような、全女学生の憧れの、それでいて、どの女の子も寄せ付けない、冷たい態度の貴公子の凍てついた心を射抜いたのが、主人公のヒロイン、ベラなのだ。本人は運動オンチのとりえのないパっとしない普通の内気な女の子。でも、吸血鬼のエドワードにとっては、彼女の血の香りは、他の人間と違って、なぜか抗えないほどの魔力を持っている。彼は禁断の恋に苦しみながら、命をかけて彼女の命を守り、血を吸う誘惑も自制する。全米で女子高生の心を鷲づかみにした小説が原作である。美しく、清純。バンパイアであることの妖艶な魅力と設定を下敷きに、女の子をとろかすようなメロドラマである。「ロミオとジュリエット」+「ポーの一族」+「時をかける少女」の組み合わせの鉄壁純愛物語。バンパイアにはハリー・ポッターに出演した役者で、少しごっつい感じがしたが、ワイルドに変身すると迫力がある。ヒロインは「パニック・ルーム」でジョディ・フォスターの幼い娘を演じていたが、今は成長して、シガニー・ウィーバーの若い頃に似ている。映画の出だしでは、ダサイ田舎娘の雰囲気の主人公が、恋の進展と深まる謎と苦しみの中で、だんだん美しい乙女になっていく撮り方がうまい。小説も面白かった。映画も原作の細かい所を壊さず丁寧。原作ファンを怒らせない。続編もご期待あれ。子どもじみたのが嫌いな方は、ゴシック調SFファンタジーで血生臭い「アンダーワールドビギンズ」もあります。(こ)