『リリィ、はちみつ色の秘密』
1964年、公民権法制定当時、投票に行く黒人がいじめられる人種差別が当たり前だったアメリカ南部。天才子役ダコタ・ファニング演じるリリィは14歳の少女。リリィが手にした銃の暴発で母を失った彼女は、自らを責め続けた上に、父親から母は自分を捨てようとしていたのだと言われ、冷たくされていた。耐え切れなくなった彼女は母の遺品を頼りに、黒人3姉妹が暮らす養蜂場にたどり着く。そこで一緒に暮らし、はちみつ作りを手伝いながら生まれて初めて家族の温もりを知り、人の優しさに触れる。蜂を育てる時に教わる。蜂に愛を送りなさい、どんな小さな生き物でも愛されたいと思っている。心を込めて愛を贈れば、その愛は通じる。原作は全米500万部の大ベストセラー。黒人3姉妹の配役がすごい。その中でも「ドリームガールズ」でオスカーを手にしたジェニファー・ハドソンにはすぐ気がつくと思う。私はダコタの大ファンなのだが、10年後の彼女がどのような俳優になるかとても気がかりだ。もうすでに成長しきったかに見える天才子役は大人になってその輝きを失ってしまうことが多い。成人となった彼女を見るまで長生きしたいというのが今の心境である。オバマ大統領の誕生に合わせるように、30年代の良きアメリカを舞台にした映画が公開されている。アメリカは間違った事をしても、それを乗り越えて正しい社会に生まれ変わっていくという、自信に満ちたメッセージを世界に送っているように見えてならない。銀座のビルの屋上でミツバチを飼い蜂蜜をつくる銀座ハチミツプロジェクトが人気である。今度の改正は蜂蜜をなめさせてもらえるのか、蜂に刺されるのか、どちらであろうか。(こ)