銀座シネマタイム9 「オーストラリア」 20世紀フォックス映画配給

銀座シネマタイム9 「オーストラリア」 20世紀フォックス映画配給

「オーストラリア」 20世紀フォックス映画配給

太平洋戦争のオーストラリア。ニコール・キッドマン演ずる英国人貴族のレディ・サラは夫を追って紺屋の植民地大陸にやって来るが、夫は殺され、1500頭の牛が残された。しかも、牧童頭は裏切り者で、すぐにでも、牛を大陸横断させて軍に売らなければならい状況だった。アル中の老人、アボリジニの混血の少年。そしてヒュー・ジャックマン演ずる無頼の牧童を頼りに冒険ロマンを繰り広げる。ご都合主義はハーレークインロマンス以上である。オーストラリア版「嵐の丘+キャット・バルー」であるが、大陸の乾燥した風土と、主演2人の個性から、明るくさっぱりと軽い。ディズニー顔負けに軽い。でも、さわやかで楽しくリゾートのように気持ちよい。娯楽大作の中に、原住民に対する人種差別、日本軍の攻撃と、きちんと歴史絵巻になっている。大きな困難をアングロサクソンは乗り切れる、負けない、われわれは素晴らしい。Yes We Can!のメッセージたっぷりである。1930年代の古きよき時代を描くアメリカ映画が目立つが、きっと、国策の大きな間違いも素直に認めて改善し乗り切ってきたという世界支配民族の矜持なのであろう。とは言え、赤い夕日に染まる大地に都会的なニコールのファッションが美しい。フェラガモがにあう。オーストラリア出身のバズ・ラーマン監督がオーストラリア出身俳優オールキャストで撮った大作である。世界の黒沢明監督が「日本」という映画をとったらどうなるのであろうか。物語のどこを切っても宝塚向きで、ベルバラに負けずヒットするのではないか。キャストを考えてみるのも楽しい。でも、2時間40分は長い。