銀座シネマタイム8 「7つの贈り物」 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給

銀座シネマタイム8 「7つの贈り物」 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給

「7つの贈り物」 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給

このコラムでストーリーはあまり紹介しない。新聞雑誌にあふれているので省いている。ご容赦あれ。この映画広告ではもったいぶった意味ありげな説明で気を引くようにしている。主人公のベン・トーマスは税務署眞を偽って、何の関係もなさそうな7人にまとわりつき調査する。バレると「自分を信じてくれ。君が私のギフトを受け取る価値がある、良い人間か確信を持ちたいのだ」と逆切れをする。落ちが見えてくるとこちらの気持ちが落ち着くが、今度は退屈になってくる。そこからが役者の演技力、魅力が問われる。
主人公には全く納得感がないが、ギフトを受け取る方の役者には目を見張るものがある。エンディングの清涼感も主人公を抜きにしたところにある。ベケットの舞台劇「ゴドーを待ちながら」さながらに、主人公そのものは登場させず、受け取った者のみの想い出語りにした方が、イエスを語る使徒のようで神秘的になったのではないか。「デポラ・ウィンガーをさがして」の例もある。「幸せのちから」で役者としての新境地を開いたウィル・スミスと、同じ監督との新作である。同じ路線の感動ドラマを狙ったと言われてもしょうがないのだが。正直言って見ている時は、主人公の言動の意味が分からないので、イライラした。ウィル・スミスは抑えた演技を心がけていたようだが、何せ、演出は激しい主人公の情動を表現させようとする。オーバーアクトのクサいお涙頂戴演技に見えてしまう。現代のSeven Poundsは「ベニスの商人」に由来する。ギフトをもらった者が主人公と思って観賞し、考えてほしい。