銀座シネマタイム15 『レッドクリフ PartⅡ』

銀座シネマタイム15 『レッドクリフ PartⅡ』

『レッドクリフ PartⅡ』

濃い映像、スピーディーなカメラ廻し、普通はない位置からのカメラワーク。何を題材に映画を作っても、ジョン・ウー監督作品だ。「MI:Ⅱ三国志版」のよう。日本になじみのある「三国志 赤壁の戦い」を人気俳優で堪能させてくれる。若々しく色っぽい金城武が諸葛孔明を演じていたことが気にかかったが、横山光輝作の漫画の印象に一番近いかもしれない。善良な主人公にトニー・レオン。その美貌の妻に台湾のモデル出身で映画初出演のリン・チーリン。彼女もこれを機会に日本でも人気が出るのではないか。日本人俳優では中村獅童が勇猛果敢な武将を演じている。悪役のイメージが強い曹操だが、実際は名宰相だと言われる。チャン・フォンイーが、人間味があり統率力の優れた曹操を演じている。曹操主人公の三国志があってもよいのだが。最近の子どもはゲームで三国志を学ぶ。子どもの頃覚えた言葉は皆三国志だったと思い知らされた。三顧の礼。水魚の交わり。苦肉の策。白眉。老いてますます盛ん。泣いて馬謖をきる。危急存亡の秋。破竹の勢い。その言葉のままでストーリー展開を説明できる。夜間戦闘の前に風向きを知るため飛ばすロウソクを入れた紙風船の灯篭が美しい。孔明が3日で10万本の矢を得る策略を知っていてもわくわくする。頭痛持ちの曹操の主治医が「頭を切り開いて中身を見てあげましょうか」と言って、曹操の怒りを買ったりする。全身麻酔はこの時代に発明されたそうだ。信義に命を懸けた時代。運良く成功すれば、莫大な年俸、倒産しても莫大な退職金の現代。経営幹部はコミットメントに首をかけてほしい。(こ)